株式会社こどもの森の食育を考察|給食を子どもの好奇心につなげる環境とは
株式会社こどもの森は、保育園や学童保育所、児童館などを運営する保育事業者です。こどもの森の取り組みを見ていくと、給食を栄養補給だけで終わらせず、子どもが食べ物に関心を持つための時間として捉えていることが分かります。
幼い子どもに食の大切さを言葉だけで説明しても、すぐに理解できるとは限りません。それよりも、野菜に触れる、料理ができる様子を見る、香りの変化を感じるといった実体験のほうが、食べ物への興味につながる場合があります。
今回は株式会社こどもの森の公開情報を手がかりに、保育園での食育を子どもの好奇心という観点から考察します。献立や栄養素だけでは見えにくい、食事の前後にある学びに注目します。
食育について興味がある方には、こちらのサイトがおすすめです。
農林水産省公式サイトで、食育をしっかりと学ぶことができます。
給食は席に着く前から始まっている
大人は給食と聞くと、配膳された料理を食べる時間を想像します。しかし、子どもにとっての食事体験は、料理が目の前に運ばれる前から始まっています。
調理室から聞こえる音や、廊下まで届く香り、食材を運ぶ職員の姿なども、食への関心を生むきっかけです。先ほどまで見ていた野菜が料理になって登場すれば、食材と給食のつながりも理解しやすくなります。
株式会社こどもの森では、園によって調理室の中が見えるようにするなど、子どもが給食づくりを身近に感じられる空間が取り入れられています。完成した料理だけを提供するのではなく、つくられる過程を日常の風景に含める考え方です。
調理の様子が見えることで、給食は突然現れるものではなく、人の手によってつくられていることが伝わります。誰かが自分たちのために準備していると気づくことも、食べ物や人への関心を深める経験になります。
初めての食材に近づくまでの時間
子どもの食に対する反応は一人ひとり異なります。初めて見る料理を迷わず口にできる子もいれば、色や香りに戸惑い、なかなか手を伸ばせない子もいます。
苦手そうにしている子に対して、すぐに食べることだけを求めると、食事の時間そのものが負担になる可能性があります。一方、見る、触れる、香りを確かめる、友だちが食べる様子を見るといった段階を重ねることで、少しずつ距離が縮まることもあります。
食育は、食べた量だけで成果を判断できるものではありません。昨日は触れなかった食材に今日は手を伸ばした、料理の名前を尋ねた、調理前と調理後の違いに気づいたという変化も、食への関心が育っている姿です。
こどもの森のように保育と給食を同じ生活の中で捉える場合、食事中だけでなく、遊びや会話の中に表れた小さな変化も共有しやすくなります。食べさせることを急ぐのではなく、興味が生まれるまでの過程を見ることが重要です。
食材を知ることが季節との出会いになる
旬の食材や行事に合わせた料理は、季節を知る入口になります。子どもに春夏秋冬の特徴を説明するだけでなく、料理の色、温度、香り、食感として体験してもらう方法です。
暑い時期と寒い時期では、店頭に並ぶ野菜や食卓に登場する料理が変わります。行事食には、その料理が食べられてきた理由や地域の暮らしが反映されています。給食で季節を感じたあと、園外で同じ食材を見つけたり、家庭で話題にしたりすれば、一度の食事から経験が広がります。
株式会社こどもの森が食育で大切にしているのも、食事を独立した作業として扱わないことだと考えられます。自然遊びで見つけた植物、絵本に登場した料理、園で育てた野菜などが給食と結びつくことで、子どもの中に知識だけではない理解が生まれます。
食材を覚えること自体を目的にするのではなく、季節や自然、人の暮らしへ興味を広げることが、幼児期の食育の一つの役割です。
調理する人との距離が食事を変える
保育園の給食を支える栄養士や調理師は、献立を考えて料理をつくるだけの存在ではありません。子どもの食べ方を知り、保育士と相談しながら、提供方法を調整する役割も担います。
同じ献立でも、年齢や発達によって食べやすい大きさや硬さは変わります。その日の体調によって食事量が変わることもあります。保育士が食事中の様子を伝え、栄養士や調理師が専門的な視点から工夫することで、子どもに合わせた対応につながります。
また、料理をつくった人と接する機会があれば、子どもは食事を人との関係の中で捉えられます。おいしかったことを伝えたり、料理について質問したりすることで、給食は提供する側と食べる側だけの一方向のものではなくなります。
株式会社こどもの森には、保育士のほか、栄養士や調理師など複数の専門職が関わっています。職種間の連携は、安全に給食を提供するためだけでなく、子どもの興味を次の活動へつなぐうえでも意味があります。
家庭と園で同じ食べ方を求めなくてよい
園では食べられるのに、家庭では同じ料理を口にしないという話は珍しくありません。反対に、家庭では好んで食べるものを、園では避けることもあります。
食事をする場所、周囲にいる人、料理の盛り付け、本人の気分が変われば、反応が異なるのは自然なことです。園と家庭のどちらかの対応が間違っているとは限りません。
重要なのは、園と家庭で食べた量を競うことではなく、それぞれの場所で見られた様子を伝え合うことです。園で食材に興味を示したと聞けば、家庭で一緒に売り場を見たり、簡単な準備を手伝ってもらったりできます。家庭で好んだ味や食感が分かれば、園でも子どもを理解する手がかりになります。
こどもの森が保護者への子育て支援を重視していることを踏まえると、食に関する情報共有も、家庭と園をつなぐ大切な接点といえるでしょう。
量では測れない食育の成果
子どもの食事では、完食したかどうかが分かりやすい結果として注目されます。しかし、食への関心は食べた量だけでは測れません。
料理ができるまでを知ったこと、旬の食材に気づいたこと、調理する人に興味を持ったことも、その後の食生活につながる経験です。苦手なものをすぐに食べられなくても、以前より近くで見られるようになったなら、それも小さな前進です。
株式会社こどもの森の食育から読み取れるのは、給食を一回ごとに完結するものではなく、子どもの好奇心を少しずつ広げる機会として考える姿勢です。
食べる前に出会いがあり、食べたあとにも会話や発見が続いていく。こうした流れをつくることで、給食は日々の予定の一つから、自然や季節、人とのつながりを知る学びへ変わります。
こどもの森について調べる際には、献立の内容だけでなく、子どもが食材や調理する人とどのように出会える環境なのかにも注目すると、同社が大切にする保育の特徴をより具体的に理解できるでしょう。



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